ホーム > 患者さま紹介

患者さま紹介

愛犬ラフの闘病記

西山 ラフ:アメリカンコッカースパニエル【オス】 H22.5.13生

西山 ラフ

西山 ラフ

長崎にある我が家に初めてわんこがやってきたのは平成22年7月19日。アメリカンコッカースパニエルのオスで、名前は「ラフ」。生後2ヶ月だったラフはころころと可愛らしく、すぐに家族の一員になりました。
よく食べ元気に走り回って過ごしていましたが、2歳になる前くらいから耳の調子が悪く、近くの動物病院に通うようになりました。外耳炎と診断され、洗浄と投薬で治療していたのですが、耳の穴の手前にイボのようなものができて、だんだんと穴がふさがってきました。「この子は耳の中のヒダが多いから穴が小さくなってきている。外耳炎は長くかかるから……」と言われて洗浄と投薬を半年間続けていました。それでもなかなかよくならず 耳の縦穴部分の切開手術を勧められました。そこを切開することで、空気が入って炎症が抑えられると言われました。これでよくなると安心して迎えた手術当日になって、先生から電話をいただきました。「中をよく見てみたらもう手術不可能になっていました。このまま投薬治療を続けますが、そのうち耳が聞こえなくなります。また、聞こえなくなる前に痛みがひどくなるので投薬でごまかしながら治療しますが、後々、耳を取る手術をしなければいけません」と言われました。言われていることの意味が全く分からず、ただただ呆然として電話を切りました。聞こえなくなるだけではなく、耳を取る手術なんて。そんなことを聞いてなかったので、何が起こったのか理解できませんでした。
翌日 改めて説明を受けたのですが、耳の全摘とのことです。そういう外科手術があることも知りませんでしたし、ラフがそこまで悪くなっていることも全く知らずにいたので、どうしたらいいのかわからなくなりました。何とかならないかその後も聞いてみたのですが、答えは同じでした。

写真1 E-mailで送信した画像

写真1 E-mailで送信した画像

とにかく今の状態を少しでも保てるよう、耳の洗浄をしなくては。その想いからネットで洗浄薬を探していたところ、購入者のコメント欄に「家の犬はゴールデンレトリバーで外耳炎を繰り返していました。それが、最新の内視鏡治療でとてもよくなりました。国内には十数台しかない内視鏡らしく、これがない別の病院では外科手術をされていたことでしょう」と書いてありました。最新の内視鏡?! まさかそんなものがあるなんて。それを使えば、もしかしたらラフも治るかもしれない!!そう思ってその後、更に検索しました。
「最新内視鏡治療」「獣医最新治療」「獣医内視鏡」・・・・などいろいろな言葉で検索したところ、その内視鏡が「オトスコープ」だということがわかりました。そして更に検索して、「北川犬猫病院」にたどり着きました。
北川犬猫病院のホームページを見てみると、うちと同じコッカースパニエルの子が同じような症状で治療したことを知りました。「ラフも助かるかもしれない!!」と興奮してすぐに北川犬猫病院に連絡すると、突然のことにもかかわらず、とても丁寧に対応してくださいました。まず長崎からの連絡ということにとても驚かれていましたが、事情をひとつひとつ聞いていただきました。
アレルギー体質から耳が腫れている可能性もあるので治るかもしれないが、診察してみないとはっきりと答えられない。長崎から診察に来るのも時間的に難しいのではとのことでした。私たち家族はすぐにでも行きたいと思っていたのですが、落ち着いて考えてみるとかなり難しいことがわかりました。それでもどうしても助けて欲しくて相談しました。三枝先生は本当に親身になって対応してくださり、いろいろな方法を考えてくださいました。
九州内でオトスコープを持っている獣医さんを探してくださり、先生ご自身に連絡を取っていただき、そちらに診察に行くことになりました。これで何とかなるかもしれないと思っていたのですが、診察結果は、以前地元の獣医さんが判断したのと同じで、耳の全摘外科手術しかないとのことでした。治るという期待一杯で行っていたので、その言葉を聞いた瞬間、目の前が真っ暗になり、倒れてしまったほどでした。

画像2 オトスコープ2回目画像 荒廃した鼓膜付近の所見

画像2
オトスコープ2回目画像
荒廃した鼓膜付近の所見

それでもどうしてもあきらめきれず、また三枝先生に相談しました。お忙しい中、時間を作ってくださり、何度も話を聞いていただきました。東京に連れて行くので1度見て欲しいとお願いしたところ、快く承諾してくださりました。そして、とにかく耳の穴が開かないことには診察できないので、まずは薬で少しでも穴を開いてからの診察になりました。1ヶ月後に予約を入れていただき、診察を待つことになりました。薬を飲み始めると、だんだんと耳の穴が開いてきました。薬の効果にも驚いたのですが、何よりも嬉しかったのが、寝てばかりで音に反応しなくなっていたラフが、お気に入りのおもちゃで遊び始め、音に反応し始めたことです。表情が豊かになり、以前のラフに戻ったようでした。その姿に家族全員で喜び合いました。
先生にはEメールで耳の画像(写真1)を添付して状況を報告しましたが、先生はお忙しいにも関わらず電話やメールで連絡をとってくださいました。まだ、一度も会ったこともない私たちにとても親身に対応していただいたことは忘れられません。

画像3 狭窄した耳道のオトスコープ所見

画像3
狭窄した耳道のオトスコープ所見

数日後、先生から「一度の診察での治療は難しいので、短期集中治療で1ヶ月入院するのはどうでしょう?合宿だと思って預けてもらえないでしょうか」と言っていただきました。本当に嬉しい言葉でした。ラフは甘えん坊なので不安は少しありましたが、先生にだったら預けても大丈夫、今までのやりとりから安心して預けられると確信していましたので、お世話になることになりました。
長崎から車で片道1200kmの道のりを走り、なんとか無事に北川犬猫病院に到着しました。初めてお会いする先生やスタッフの皆さんも優しい笑顔で迎えてくださり、安心して預けられると改めて感じました。
入院生活はどうなることかと少し不安でしたが、人なつっこいラフを先生やスタッフの皆さんが可愛がってくださって、何とか過ごすことができるのではないかと思いました。
肝心の耳は、最初見た限りでは大丈夫だろうとのことでしたが、中を見てみると鼓膜や骨も無いほど、とてもひどい状態だということがわかりました。(写真2,3)先生もこの若さでどうしてここまでひどくなったのだろうと、頭を悩まされていました。

画像4 再生した鼓膜のオトスコープ所見

画像4
再生した鼓膜のオトスコープ所見

私たちもこんなにひどくなっているとは気付かず、可哀想なことをしてしまったと悔やんでばかりでした。それでも先生は、外科的処置はせずに内科的治療を進めますと言ってくださって、その言葉にとても救われました。アレルギー体質が関係していること、外耳炎ではなく中耳炎になっていることなど、それまで全く知らなかったことを教えていただきました。
治療は、耳の中の腫れが引き、膿が止まることが目標になりました。なかなか引かない腫れは、やっかいな耐性菌によるものでしたが、その菌に対しても、薬を探していただきながら試行錯誤で対応策を考えてくださいました。
毎回治療を嫌がるラフを優しくなだめて診察してくださったり、アレルギー対応のフードを食べず悩ませてしまったり、散歩に何度も連れ出してくださったりとたくさんのご迷惑をかけているのにもかかわらず、「大丈夫ですよ!ラフちゃんも頑張っていますから、みんなでお世話しています」と優しく言ってくださり、感謝の気持ちでいっぱいでした。
メールや電話での近況報告は、山あり谷ありの連続でした。なかなか引かない腫れと止まらない膿に毎回どうなるんだろうと心配していましたが、先生方の根気強い治療の成果が徐々に出始め、耳道が少しずつきれいになり、以前と比べると驚くほどいい状態になっていきました。それでも腫れは引いたりまた腫れたりの繰り返しで、「退院予定日には間に合わないようです」との連絡がありました。先生は「飼い主さまの元へ早く返してあげたい気持ちと、獣医師として膿がおさまってから退院させないといけないという思いが葛藤しています」と話してくださいました。今の状態では帰ってきてからのケアなども難しいので、更に2週間延長して治療してもらうことになりました。耳の状態としては腫れが引いても鼓膜や骨が無いので、このままの状態を維持していくしかないと言われました。それでも以前の状態からは考えられないほど良くなっていますし、耳の全摘手術を免れられるのなら今の状態を維持していこうと思っていました。
そして、退院前の最後のオトスコープの日、先生から嬉しい連絡がはいりました。
「西山さん! ラフちゃんの鼓膜が再生していますよ!! 血管も確認しましたよ」(写真4)と、びっくりする連絡でした。先生・スタッフの皆さんのおかげで奇跡が起きたのです! 
もう受話器を持ったまま飛び上がるほどうれしかったです。

家族みんなで喜びあって、ついにお迎えの日を迎えました。
1ヶ月半ぶりに会うラフはとても元気で、しっぽを振りながら駆け寄ってきました。
先生やスタッフの皆様も笑顔で迎えてくださり、「ラフちゃん、頑張ったかいがありましたね! 良かったですね」と声をかけてくださいました。
長い間お世話をしてくださった北川犬猫病院の皆様には、言葉では表現できないくらい感謝しています。
本当に出会えて良かったと心から思っています。ありがとうございました。

ラフは家に戻ってからもとても元気で、大好きな散歩に行くと、嬉しそうに走り回っています。
先生に治していただいた耳を、今後も再発させないようにケアしていきたいと思っています。
本当にお世話になりました。ありがとうございました。

きっと他にも、私たち家族と同じように悩んでいる方がいらっしゃるのではと思います。道が開けると思いますので、先生にぜひ相談してみてください。

獣医のコメント
長崎~東京 1200kmを超えて愛犬を連れてきた飼い主さまの「治してあげたい」というお気持ちに敬服しています。
耳炎が治り難いとすぐに外科手術を勧める獣医の早計さを憂うべきだと感じます。難治性の耳炎では、まずその原因を探るべきです。原因不明のものも多々ありますが、考えられる増悪因子をひとつずつ除去していき、根気強く治療を継続することで耳道の開通と鼓膜の再生をはかる努力を惜しまないことが重要だと考えています。

愛犬ベルの治療

奥田 ベル:ゴールデンレトリバー【メス】

奥田 ベル

奥田 ベル

ベルは7歳を過ぎた頃から病気にかかる事が多くなりました。子宮蓄膿症や耳血腫などの手術も他院で受けてきました。そして、皮膚に関してはなかなか症状が改善せず悩んでいたところ、皮膚の病気に力を入れている北川犬猫病院を知りました。

写真1 細くなってしまった尻尾

写真1 細くなってしまった尻尾

最初に病院を訪れた時のベルは、毛が抜け落ち薄くなり毛艶も悪く「この子本当にゴールデン?」という状態でした。(右の写真1)特に尻尾はねずみのしっぽのように細くなっていて、鼻の周りまで毛が抜けてしまっていました。

写真2 鼻の上の脱毛

写真2 鼻の上の脱毛

(右記の写真2、3)早苗先生に診察してもらい、まずは甲状腺ホルモンの検査をする事になりましたが結果は特に問題は無く、ここでは原因を特定する事はできませんでした。そこで早苗先生の勧めで亜鉛のサプリメントを飲ませてみる事になったのですが、以前通っていた動物病院ではいつも注射を打たれるか薬を処方されるのが普通だったので、サプリメントで毛が生えるのかと半信半疑でした。ところが、これが見事に効果を発揮!気がつけば以前のふさふさモコモコのベルに復活していました。
私たちも早苗先生もとても喜んだのですが……。
今度は増えすぎた毛のせいか、再発性の膿皮症に悩まされる事になってしまいました。急性湿疹で皮膚が真っ赤にただれてしまって病院に駆け込んだ事も何度かありました。その後、食物アレルギーの検査もしたのですがオールクリア(笑)。「ここで何か引っかかれば対処法が分かるかも! 」と思ったのですが、結果は空振りに終わりました。今でも原因ははっきりしませんが、毎日、父が丁寧に患部の消毒と塗り薬(父はこの薬に絶大な信頼を寄せています)を続け、その効果なのか以前のようにひどくなる事は少なくなりました。皮膚の為にご自慢(?)のフサフサな毛もトリマーさんに短くカットしてもらって蒸れないように気をつけています。このショートカットが結構好評です。また、早苗先生にアドバイスを受けて、肘をベルが直接掻かないよう、犬用の洋服に袖を付けるなどの工夫もしています。

写真3 粗くつやのない被毛

写真3 粗くつやのない被毛

そして一昨年の夏には脾臓摘出という手術も受けました。最初は下痢をして少し元気が無いなという症状で診てもらったと思うのですが、エコー検査で脾臓に腫瘍らしきものが見つかり、その後も何ヶ月か様子を観察していたのですが、やはり腫瘍が大きくなっていて、このままでは破裂する可能性もあることから摘出手術を受けることになりました。
手術をしてみるとすでに少し破裂して出血もしていたとのことで、非常に危険な状態でした。取りだした腫瘍はどす黒くて「おそらく悪性でしょう、がんの種類によっては余命数カ月という可能性も」と告げられショックを受けたのですが、なんと病理検査の結果は良性!執刀してくださった仁木先生もとても驚いておられました。良性で、本当に嬉しかったです。その後は歯茎の色をチェックするなどで健康状態には気をつけています。

今現在は、中耳炎の治療でほぼ毎週のように通院しています。早苗先生にも「この耳には手を出したくなかった……」と言われる程の困った耳です。本当は麻酔をかけて内視鏡を奥まで入れて洗浄した方が有効だそうですが、高齢な事もあって何度も麻酔をかけるのはどうかなと悩んでいるところです。
ただ膿が溜まると痛いのか。ベルが部屋の隅に隠れてしまって可哀想なので、ひどくならないように、なるべく週に一度は洗浄してもらうようにしています。

病気のデパートのようなベルですが、これからも温かい先生方や可愛がってくださるスタッフの皆さんに支えていただき、少しでも長生きできるよう、私たち家族も努力していきたいと思います。
今後ともベルと奥田家をよろしくお願いします!!

獣医のコメント
再発性膿皮症の原因には、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどのアレルギー性疾患や、甲状腺ホルモンの低下症や副腎皮質機能亢進症(クッシング病)などのホルモン性疾患などがあります。また、最近は抗生物質に耐性をしめす細菌による皮膚の感染症や中耳炎も多く、飼い主さまや獣医師の悩みの種になっています。奥田さまご一家はベルちゃんの皮膚をとても良く管理していると思います。
こまめに毛を短くカットして病変を早期に発見して対応されているので、ひどい状熊になるのを免れています。

愛犬ジェシーの外耳炎

ジェッシー:アメリカンコッカースパニエル

ジェッシー

ジェッシー

我家にやってきた当初、今まで飼ったことのある犬達よりも脂っぽい体質だなと感じたこと以外、見た目には、3歳という年齢に相応しく元気の良い健康体だったジェッシー。我家へ来る前に受けてきた血液検査でも異常は無かった。艶々コートの先端ウェープと、アンテナのようにピコピコ動かす短い尾がとても愛らしかった。

家族となって半年が過ぎた頃、春の訪れと共に気温が上昇するとともにジェッシーが一日に何度も耳を掻く動作が目につくようになった。獣医へ連れていくと、外用薬の処方で完治したかのように見えたが、その後も何度か再発。何かのアレルギーが原因かと一度尋ねたことがあるが、そうかもしれないねと獣医に言われたまま、特に検査などして特定することは無かった。

いくつかの病院に通っても、外用や内服薬で一時的に良くなるだけで、毎年、春過ぎ頃から秋までの湿度が高い時期には、必ず外耳炎を繰り返した。耳の中の状況は繰り返す度に一層悪くなっていくように感じていた。そのうち、耳の中の小さな突起までが赤く腫れだして、何かが原因で耳を掻きだすようになると、冬でも外耳炎を起こすようになった。

我家に来て2年目には、ジェッシーは身体全体の皮膚に瘡蓋のような出来物も認められるようになり、合わせて抗生剤での治療も始まった。右耳に小さな腫瘍のようなものも出来始め、獣医では左耳の中にも腫瘍状のものが認められると言われる。良性か悪性かは切除しないと判らないこと、外耳炎もかなり進んでいることもあり、高度医療センターでの診療を薦められた。このとき、全耳道切除についての説明を受ける。

自分でも外耳炎治療のための情報を得るため、Web上でいろいろと調べていたところ、犬の耳道切除経験がある方から、セカンドオピニオンの診療を受けるべきというアドバイスをいただいた。紹介いただいた院で診察を受け、収まってきたように感じて安心したのも束の間、外耳炎再発。

どうにかジェッシーを救ってあげたい。

ここまできたら全耳道手術しかないのかと一旦は覚悟したが、その前に、詳しく知りたいと思っていたオトスコープという耳の内視鏡を使った最先端医療での治療技術が、ジェッシーのケースに有効であるかを調べてみる価値はあると思った。

そこで、Webを利用して情報を集め、現実的に通院ができる場所で、Webで診療内容等情報公開を行っている病院の治療成果に目が止まった。さっそくそこの獣医師宛に耳画像添付でジェッシーの現状と診療についての問合せをメールで行ってみることにした。それが北川犬猫病院だった。

メールにはジェッシーの耳画像を添付し、繰り返す外耳炎に関してと、通院時に処方される対処療法の現状、腫瘤の出現、全耳道切除を薦められたことに加え、聴力が無くなってしまう可能性もあるという全耳道切除をしないでの治療が可能であるか、そして、横須賀市内からの通院に時間を要すること、高額な医療費負担についての不安もあることを伝えた。

その日の夜遅くには、北川犬猫病院の三枝院長先生から返信が届いていた。「アメリカンコッカースパニエルの場合、食物アレルギーかアトピー性皮膚炎が原因で耳炎が治らない事が少なくない。ジェッシーちゃんのケースが内科的な治療可能かどうか診てみましょう。早く救ってあげたいです。月に2度ほどの通院は可能ですか?」というような内容であった。

診療でお疲れだろうにすぐに返信を下さったことがありがたく、また、女医さんらしいその優しい文章に気持ちが少し楽になったことを覚えている。翌日、さっそく受付へ連絡し診療予約。

診察では予想以上に悪い現状に先生も驚いていた。肥大化した腫瘤や腫れた軟骨、耳垢腺から出る脂等が耳を塞いでしまい、中が蒸れて細菌繁殖の温床になっていたらしい。悪化すれば中耳炎を起こすこともあり、さらに内耳まで病変が進めば恐ろしいことになる。

まずは、消毒と治療によってどの程度落ち着くかで今後の方針も異なってくるらしい。レーザー等を使った腫瘤の切除も視野に入れ、耳の構造モデルを片手に判り易く説明してくださった。また、オトスコープという耳の内視鏡を使った診療についても、耳の中の今後の状態によって受けることが可能という。かかる時間やおよその回数、費用を含めてくわしく説明をいただいた。費用については検査や投薬などが生じた際も、その都度説明し、うかがいを立ててくださるらしい。

癌などの悪性なものでない限り、組織や機能をできるだけ温存する医療を目指したいという言葉をいただき、診療時に感じた女性ならではのきめの細やかさに触れ、この先生に是非ジェッシーを託したいと思った。

二年間も模索し続けてきたジェッシーの外耳炎。こうして全耳道切除回避への希望がある治療プログラムがようやくスタートを切った。

次回の診療までに自宅で毎日行ったオキシフルやイソジンでの消毒により、左耳の見た目はすっかりと皮膚が綺麗になっていて、奥にあるという腫瘤のようなものは見えていない。右耳の方は軟骨の腫れが収まったかのようにも見え、脂っぽい嫌な臭いは消えたが、夜の消毒後は綺麗になるものの、朝になると血液のような臭いを伴った分泌物が目立つ。そして、ジェッシーの右耳入口にあった腫瘤状のものが大きくなっている。これは蓋のようになっていた腫瘤を前回の診察時に耳の奥から引っ張り出したものであった。これが外耳を塞ぐ役目をしていることもあり、何かしらの外科的処置は必要だろうとのことだった。

次回の診察までの間に、今後の治療やジェッシーの現状に関して何度かメールで連絡をくださった。耳の細菌培養結果についても、今のところ緑膿菌は検出されずブドウ球菌が発育しているということが判った。

2回目の診療では、ジェッシーは足の様子もおかしかったので、まず整形の仁木先生に診ていただき、ジェッシーのような慢性化の場合は予後に期待ができることをうかがい、耳を最優先で治療していただくことになった。

院長先生は前回の診察後、ジェッシーのためにどのような手段が最善であるかを検討してくださっていて、中耳炎の疑いがあること、耳道もオトスコープを使用できないほどの状況であろうこと、外耳入口辺りで蓋のようになっている腫瘤を摘出したほうが良いことなどから、まずは耳の側壁を切り開いて腫瘤を摘出する方法で手術を行い、中耳炎の治療は手術した後に、耳道が落ち着いてからになることを説明いただく。こうしてジェッシーは入院して手術を待つことになった。

手術前日には、オトスコープで耳道を診る予定だが、長い間化膿していたところが蓋をされていたため、予想以上にひどい状態になっている可能性があることと、予定していた手術が不可能な場合の選択肢について連絡をいただいた。

選択肢の一つは、腫瘤だけを切除する方法で、もう一つは、耳道を腫瘤ごと取らざるを得ない場合、垂直耳道を腫瘤ごと筒状に丸く取り去り、水平耳道を残す方法ということだった。水平耳道も鼓室も取ってしまう全耳道切除術は、癌以外では選択したくない手術であるとメールに記載されていた。

私は後者を選択し、予期せぬ何らかの事態があった場合、先生の判断にお任せすることを伝えた。先生は、最善を尽くさせていただきますとお答えくださった。

手術は、外側耳道切除術という方法で、昼過ぎに無事終了したとの連絡をいただく。腫瘤の根は思ったよりも深くなかったものの、耳垢腺の過形成がとてもひどい状態で、術後の処置も大変だった様子。術中、垂直耳道上に新たに同じ大きさの腫瘤状のものが見つかり、やはり中耳炎も起こしている可能性は拭いきれないとのこと。摘出した腫瘤の病理検査と、採取した分泌物の細菌検査の結果によって、新たに発見された腫瘤状の塊の切除方法も異なってくるらしい。

手術から4日が経過、この間にも三枝先生はこと細かに入院中のジェッシーの状況を知らせてくださり、お疲れのところ申し訳無いと思いつつ、お尋ねしたことへの回答も下さっている。ジェッシーが入院生活に適応しており、術創の腫れは大分引いたが、耳道や縫合面に耳道壁からの分泌がまだかなりあること。耳の中の洗浄は、耳道と皮膚が落ちついてからにすること。摘出した腫瘤の下にあった塊は、やはり入院中に切除した方が良さそうであることなどと、病理検査結果が戻ったら腫瘤の取り方を相談下さるという内容だった。

検査結果は、二つの検体のうち、大きい方は繊維上皮性ポリープ、もう一つは先生が予測された耳垢腺過形成で、両方とも悪性ではないことに安堵する。検査報告書は自宅へFAXしてくださった。

そして後日、ジェッシーの耳を徹底的に消毒することが出来たため、真っ黒だった耳道が灰色に少しうすくなり、良い兆候が見えてきたとの連絡。分泌の方は減ってきているものの、まだまだ油断できない状況は続いている。普段の耳の手入れについても、アドバイスを頂いた。目で見える範囲をやさしくコットンに洗浄液をつけて拭くそう。

検査結果が出たことから、右の耳道で見つかった出来物を追加手術としてレーザーにて切除することが決まり、反対の左耳の入り口にもあるという出来物が耳道を塞ぎそうであることも判明したので、可能であれば一緒に取りたいという連絡をいただいた。この手術で新たに左耳に問題があることがわかった。皮膚は一見綺麗に見えているのだが、腫瘤状のものが耳道を塞ぎ、奥の方が狭窄しているらしい。この手術ではその腫瘤をレーザーで蒸散するに留めて、日を改めて別の方法が検討されることになった。

新たに手術が追加されることになったので、ジェッシーの入院期間が延びることなった。先生はその都度、今後の治療方針や使用する薬剤、それにともなう費用などの説明などをご相談くださっている。ジェッシーを一度退院させて、後日再入院して手術という提案もしてくださったが、術創の管理や、一旦家に帰った後での再入院がジェッシーにも辛いのではないかと考え、継続して入院させていただくことになった。

左耳が右耳よりも悪い状況であることを考えると、最初から全耳道切除を選択した方が、この先の医療費負担面を含めても手っ取り早かったのかもしれない。けれども、たとえ最終的に全耳道切除を選択せざるを得ないケースだったとしても、もしわずかでも救われる可能性があるのなら、失われる機能が最小である方法での治療をと希望した。我家の犬達は、子供達と同じ、大切な家族なのだから。

そして、「最善を尽くしてみましょう」という先生の言葉には、いつも救われる気持ちだった。

右耳の抜糸を行った日に、左耳はオトスコープという耳の内視鏡での切除を試みて下さるとのことだったが、中が狭窄していたため奥まで入らず、右耳と同じように耳道の一部を切開して腫瘤の切除を行う方法が良いであろうという説明と確認を兼ねた連絡を術中にいただく。

手術はこうした状況から時間を要し、切除後の皮膚形成も右耳よりもはるかに大変であった様子。耳の壁全てに過形成が玉砂利状に見られ、左耳も中耳炎を起こしている可能性があるため、この先の治療についての連絡いただいた。

北川犬猫病院のように、耳治療に力を入れ、整った設備での診療を受けることができなければ、ジェッシーは全耳道切除という道しか選択肢がなかった。手術へのお礼と、専門医としての先生と出会えたことの感謝の気持ちを伝えた。すると、日本ではまだ専門医という分野は確立されておらず、専門医ではなく、長い間、興味を持って皮膚や耳の疾患に取り組んできただけというお返事をいただいた。

こうした獣医学への熱意ある姿勢が、すがる思いで北川犬猫病院を訪れる方達の信頼の基準になっているのだろうと感じた。

耳道を塞いでいた腫瘤を切除したことで、ようやく内科的な治療へ向けての取り組みが始まろうとしている。現状では、治療過程の半分までも到達していないとのこと。左耳は右耳よりもかなり時間がかかりそうであることも判明し、今後の細菌の検査結果も順調に行くことを祈るばかりだった。

治療後、包帯がすぐ外れてしまうため、先生方がガーゼで工夫、手作りしてくださった包帯を巻いたジェッシーの姿はとても痛々しかったが、治療にはかなり協力的になっているという。犬とは何と謙虚な生き物だろうと思わずにはいられない。家族が待っているよ。ジェッシー、頑張ろうね。

二度目と三度目に手術を受けた際の病理検査の結果は、全て良性であったという嬉しい報告。両耳とも外耳道を塞いでいた腫瘤状のものは全て摘出しいただき、耳道にはアメリカンコッカースパニエル特有の発達した耳垢腺からの脂が出てきている様子だが、あとは通院での治療に切り替えていく。

我家では過去に何頭か犬を飼育しているが、耳の炎症で長い間苦しんだのはジェッシーが初めてだった。アメリカンコッカースパニエルを迎えたら、生涯に渡り十分な耳のケアが必要な犬種であるという認識が必要であると個人的に感じた。

退院の日も相変わらず外耳道からは次々とアメリカンコッカースパニエル特有の発達した耳垢腺の脂が出ている。これから日々の丁寧な拭き取り等のケアと耳の穴の確認、新たな過形成の出現もチェックしなくてはならない。先生から退院後のケアについての説明をいただく際に、ジェッシーが素直に診察台に横たわっている姿に驚いた。犬が、しかもジェッシーがおとなしく診察台に横になったままの態勢を保持して、処置を受けるなんてこの目で見ても信じられなかった。

こうしてジェッシーに愛情を持って、一連の急性期に治療や手術を行なってくださった北川犬猫病院長である三枝先生は、ジェッシーの様子も今でもときどき尋ねて下さって、女医ならではの温かく繊細な心遣いをしてくださる。とてもありがたく、嬉しく思っている。ジェッシーを救うための配慮と、ご多忙な中での時間を割いて下さっていることに感謝。

アクセス


北川犬猫病院

住所
〒174-0072
東京都板橋区南常盤台1-39-1

診療時間
午前 9:00~12:00
午後 15:00~18:00
定休日:なし

詳しくはこちら