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病気一覧

感染症

皮膚は細菌や寄生虫などの外敵からの刺激に対して、免疫を介し、常に敏感に反応して処理を行っています。そして、その防御機能を上回る外敵からの刺激に対して、さまざまな反応を示します。たとえば、皮膚が赤くなったり、ボツボツができたり、ベトついたりといったものです。時に痒みや臭い、フケ、脱毛を示すこともあります。こうした反応を起こす外敵には、以下のようなものがあげられます。

①外部寄生虫性皮膚疾患:ツメダニ ニキビダニ 疥癬
②細菌性皮膚疾患(膿皮症等):Staphylococcus pseudintermedius
③真菌性皮膚疾患:マラセチア 皮膚糸状菌 カンジダ クリプトコックス
④ウィルス性皮膚疾患(リケッチア、原生動物):ジステンパー パピローマ レトロウィルス

1. 外部寄生虫性皮膚疾患
寄生虫性皮膚疾患の種類

寄生虫性皮膚疾患の種類

寄生虫による皮膚の病気には、主に次のようなものがあります。

  • 犬毛包虫症(イヌニキビダニ症)
  • 犬疥癬症(イヌセンコウヒゼンダニ症)
  • 猫疥癬(ネコショウヒゼンダニ症)
  • ミミヒゼンダニ症
  • ノミアレルギー性皮膚炎

犬毛包虫症(イヌニキビダニ症)

病気の概要
毛包虫には呼び名がいくつもあります。「ニキビダニ」「アカラス」「デモデックス」は、いずれも毛包虫の同義語です。毛包虫は健康な犬の皮膚にも存在するダニで、通常は無害です。これが体の一部あるいは全身で過剰に増殖した場合に皮膚のトラブルを起こして、「毛包虫症」と呼ばれます。毛包虫の増殖は体の抵抗力が弱ってくると起こりやすくなります。毛包虫症の発症には、年齢が低いこと、ストレス、内分泌(ホルモン)疾患といった抵抗力の低下をきたす何らかの要因が関与しています。また、毛包虫症に加えて細菌などの二次感染が起こる可能性もあります。

症状
皮膚に赤みや黒ずみと言った色の変化、そしてフケを伴う脱毛が見られます。二次感染がない場合には、通常、痒みがありません。重症化した場合、足などの病変部位から容易に出血します。

診断
皮膚を小さく削り取ったり、あるいは毛を引き抜いてそれを顕微鏡で観察して、ダニの存在を確認します。この検査で診断がつかない場合は、皮膚の病理組織検査を行う場合もあります。

治療
抵抗力の弱い子犬~若齢犬に発症した場合(若年発症型)、軽度のものであれば体が成長して抵抗力がつくのにしたがって自然治癒します。若年発症型でも病変が全身に拡がっている場合、そして成犬(成年発症型)では、ダニ駆除剤や薬浴による治療を行います。特に成年発症型では原因疾患を突き止めて、その治療を同時に行う必要があります。原因疾患には、内分泌疾患の場合が多くみられます。二次感染がある場合には、それも併せて治療を行います。

犬疥癬症(イヌセンコウヒゼンダニ症)

疥癬に感染した野生のタヌキ。脱毛が広範囲に認められる。

疥癬に感染した野生のタヌキ。脱毛が広範囲に認められる。

病気の概要
イヌセンコウヒゼンダニというダニによって起こる病気です。このダニは皮膚に深いトンネルを掘ってその中で生活し、寄生された犬は激しい痒みを示します。一般に皮膚に病変を生じますが、痒みだけ示し、皮膚病変を全く、あるいはほとんど示さないこともあります。

症状
初期には耳の辺縁、かかと、肘、腹部といった毛の少ない部位に脱毛、赤み、かさぶたや引っかき傷を生じます。慢性化すると皮膚が厚くなったり、病変が全身に拡がります。

診断と治療
症状、そして飼い主さまや同居している動物の痒みの有無、他の動物との接触歴が診断の手がかりになります。耳の辺縁をこすると足で掻く動作が誘発される「耳介‐足反射」があることが多く、診断に役立ちます。皮膚の検査としては、皮膚を少量削り取って顕微鏡で確認する検査でダニやその卵を確認しますが、この検査で発見されないことも珍しくありません。
治療はダニ駆除剤の使用や薬浴が中心になります。疥癬が疑われていて皮膚検査でダニが検出されない場合には、ダニ駆除剤による治療を開始し、症状が改善した段階で診断を確定します。

予防方法
野生のタヌキから感染するケースが増えています。動物間で感染を起こすので、感染した動物と接触したことのある犬は治療の対象となります。意外に思われるかもしれませんが、東京23区内には野生のタヌキが何家族も生息しています。近所にタヌキが出没している場合は接触させないよう注意しましょう。

猫疥癬(ネコショウヒゼンダニ症)

病気の概要
ネコショウヒゼンダニというダニによって起こります。犬疥癬とほぼ同じですが、犬疥癬に比べると発生は稀です。多く発生するのは、屋外に出る猫や多頭飼育の環境です。

症状
病変を治療せずに放置してしまうと、全身に拡がり、食欲不振や体重減少をきたし、命に関わる可能性もあります。

診断と治療・予防方法
犬疥癬に準じます。

ミミヒゼンダニ症

病気の概要
いわゆる「耳ダニ」です。ミミヒゼンダニというダニの感染によって起こり、犬や猫でよくみられます。特に子猫は感染している場合が多いので注意しましょう。

症状
耳の中にこげ茶や黒色のパサついた耳垢がたまります。通常は激しい痒みを伴いますので、耳やその周囲をかき壊してかさぶたや脱毛を生じます。

診断と治療
耳垢や表面の皮膚を顕微鏡で検査して、ダニや卵の存在を確認します。ダニは肉眼で確認できる場合もあります。耳をこする刺激に対して引っかき行動が誘発される反射も診断の補助となります。
治療は、まずたまった耳垢を取り除いて、次いでダニ駆除剤入りの点耳薬を耳の中に滴下します。背中の皮膚に滴下するタイプのダニ駆除剤も有効です。

予防方法
感染した動物が身近にいる場合、接触させないことがとても重要です。感染が疑われる場合や、耳垢が多いと感じたら早目に病院に行って検査を受けましょう。

ノミアレルギー性皮膚炎

腰の辺りを中心に、広範囲に脱毛している。強い痒みもみられた。

腰の辺りを中心に、広範囲に脱毛している。強い痒みもみられた。

病気の概要
ノミの唾液に対するアレルギー反応によって起こる皮膚炎です。ノミに刺された直後に生じる場合もありますが、2週間ほど過ぎてから症状が現れる場合もあります。

症状
激しい痒みの他、ブツブツ、赤みを伴うかさぶた、かき壊し、脱毛などが生じます。病変がみられるのは、一般に腰から尾の根元や腹部です。猫の場合、赤く盛り上がったしこりのような病変を形成する場合もあります。

診断と治療
ノミの寄生を受けたかをまず確認します。ノミが見つからない場合も、毛や地肌にノミの糞があれば、ノミが寄生していた証拠となります。ノミの糞は、黒いコンマ状の粒子で水に濡らすと赤茶色に滲みます。
治療では、まずノミの駆除を行います。そして痒みや皮膚の炎症に対して、ステロイドを使用します。また、かき壊した部分に感染が起こっている場合には、抗生物質による治療も併せて行います。

予防方法
特にノミが増える温暖な時期には、ノミ駆除剤を定期的に使用することが重要です。草の密生している場所にはノミが多数生息しているため、散歩の時、このような場所を避けましょう。また、屋内はノミにとって快適な環境です。ノミが多数発生してしまった場合には、カーペットやソファ、寝具のノミ駆除をしっかり行う必要があります。
2. 細菌性皮膚疾患

細菌性皮膚疾患~膿皮症~

健康な動物の皮膚は常在する細菌に対して一定のバリア機能を備えています。そのため、細菌の異常増殖は起こりません。しかし、そのバリア機能が何らかの原因で低下してしまうとて細菌が侵入・増殖し化膿病変を形成します。細菌の感染によって生じる化膿性皮膚疾患を総称して膿皮症と呼びます。病変の部位により、表在性(皮膚表面に病変が見られるもの)、表層性(毛包に生じるもの)、深在性(病変が真皮及び皮下織に及ぶもの)の3種に分類されます。

表在性膿皮症

典型的な表皮小環。

典型的な表皮小環。

脱毛部に一致して半円形の紅斑が認められる。これも特徴的な所見の1つ。

脱毛部に一致して半円形の紅斑が認められる。これも特徴的な所見の1つ。

病気の概要
表皮の化膿性細菌感染症です。感染は通常基礎疾患により二次的に生じます。犬では最も多く見られる皮膚疾患のひとつですが、猫の感染は稀です。皮膚に常在するブドウ球菌(多くはStaphylococcus pseudintermedius)が主な原因菌として挙げられます。

症状
フケ、かさぶた、皮膚の小型隆起である丘疹、膿疱、発赤、輪状の分泌塊である表皮小環のうち1つないし2つ以上が見られます。脱毛がある場合、その中心部に色素沈着が見られることもあります。痒みは様々で、全く無いものから激しいものまで見られます。

診断と治療
病変部から細胞を採取し顕微鏡下で観察する細胞診を行って、細菌の増殖や炎症の有無から判定します。
治療は抗菌薬の投与の他、局所の消毒や全身の薬浴を行います。抗菌薬による治療で病変が完全に消失しない場合や再発する場合には、原因菌の薬剤への耐性化、外部寄生虫症や内分泌(ホルモン)疾患といった基礎疾患、あるいはアレルギーの存在が考えられます。近年では抗菌薬がほとんど効かない耐性菌による皮膚感染症が増加しているので、薬剤感受性試験で効果の期待できる抗菌薬を調べることも重要になっています。
3. 真菌性皮膚疾患

マラセチア

今後更新していきます。

皮膚糸状菌

今後更新していきます。

4. ウィルス性皮膚疾患

(リケッチア、原生動物も)ジステンパー

今後更新していきます。

パピローマ

今後更新していきます。

ヘルペスウィルス

今後更新していきます。

アレルギー性皮膚疾患

花粉症の方の増加により、「アレルギー」という言葉が身近なものになってきています。アレルギーは、花粉だけでなく環境中のホコリや食べ物などに反応し、目や皮膚が赤く腫れて、痒みを引き起こします。
ワンちゃん、ネコちゃんも同様に、アレルギー性皮膚疾患になります。アレルギー反応を引き起こす物質(アレルゲン)に対し、IgE抗体を介して免疫反応が起こって、強い痒みを伴って皮膚が赤く腫れあがりボコボコする皮膚病変を起こします。代表的なアレルギー性皮膚疾患には、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどがあります。

アレルギー性皮膚疾患
アレルギー性皮膚疾患

アレルギーとは、体の免疫機構が特定の物質に対して過剰に反応した結果、有害な症状を示すものです。アレルギーにはI型~IV型の4種類があり、このうち皮膚病に関連するのはI型アレルギーとIV型アレルギーで、I型はIgEと呼ばれる免疫物質、IV型は白血球の1種であるリンパ球が関与しています。
アレルギー性皮膚疾患には、以下のものが多く見られます。

アトピー性皮膚疾患

アトピー性皮膚疾患 アトピー性皮膚疾患 アトピー性皮膚疾患 アトピー性皮膚疾患
病気の概要
アトピー性皮膚炎は、I型アレルギーによって起こる皮膚炎のことです。アレルギーの原因物質(アレルゲンまたは抗原)の例としては、花粉を含む植物、カビ、昆虫、ハウスダストなどがあります。最初に症状がみられるのは通常1歳から3歳の間とされていますが、高齢になってから発症する例もないわけではありません。人のアトピーとは異なり、年齢と共に重症化していきます。

症状
皮膚の赤みと痒みが主な症状としてみられます。痒みの出る部位は通常、耳を含む顔面、四肢、腋の下、内股、肛門周囲で、痒みのためにかき壊して出血したり、皮膚に黒いシミができたり、また皮膚が象のように厚くガサガサした感じになることもあります。また、アトピー性皮膚炎に加えて、食物アレルギーやノミアレルギーなど他のアレルギー、細菌や酵母菌の二次感染が加わると、痒みはさらに激しくなります。アレルゲンの種類にもよりますが、症状は一般にアレルゲンの多い季節に強く出る傾向があります。

診断と治療
通常は、症状と病気の経過から診断します。アレルギー検査でアレルゲンが特定された場合には診断は決定的になりますが、全てのアレルゲンを検査で調べられるわけではないので注意が必要です。
検査でアレルゲンを特定できた場合、可能であれば環境中からアレルゲンを除去して、アレルゲンと接触する機会を減少させます。二次感染がある場合には、感染を抑えることで症状の改善も期待できます。また、痒みを抑制するために抗ヒスタミン剤やステロイドなどの免疫抑制剤を用いることもあります。アトピー性皮膚疾患は、ほとんどの例で生涯にわたる治療が必要になります。

食物アレルギー(食物有害反応)

病気の概要
アレルギーの原因物質(アレルゲン)が食物であるアレルギー性皮膚疾患です。アトピー性皮膚炎がI型アレルギーであるのに対して、食物アレルギーはI型アレルギーとIV型アレルギー両方の形をとり、そのうち約7割はIV型アレルギーであるとされています。

症状
アトピー性皮膚炎とよく似た症状、皮膚の赤みと痒みが顔面や背中などに生じます。アレルゲンとなる食品を食べると症状を示すので、年齢や季節に関係なく認められます。また、細菌などの二次感染もよく起こります。

診断と治療
まず、皮膚に痒みを生じる他の病気を除外します。次に、除去食試験を行います。今まで食べたことのない食材を用いた食餌(除去食)や原材料を数種類に絞った食餌(制限食)のみを2ヶ月間与える食餌試験により、症状が改善した場合は食物アレルギーが強く疑われます。そして症状改善後に、今まで食べたことのある食品を与えて症状が再発したときに初めて診断が確定されます。近年になって、血液検査でI型とIV型のアレルゲンを調べ、原因食品をある程度特定することも可能になっています。
検査を行ってアレルゲンとなる食品が特定された場合は、その食品を避けます。検査を行わずに治療を開始する場合には、除去食やアミノ酸主体の処方食を開始します。アトピー性皮膚炎と違い、ステロイドでは痒みが治まらないことも珍しくありません。二次感染のある場合にはその治療も行います。除去食試験中はもちろんですが、試験後も除去食以外の食べ物やおやつを与えないことが重要になってきます。

アレルギー検査

アレルギー強度検査について

アレルギーの際に血液中に出現するリンパ球を検出する検査です。検査結果はリンパ球の割合で示されます。この値が高いほど動物の体内でアレルギー反応が活発になっていると考えられ、また、この値はステロイドでの治療により低下します。そのため、治療開始後に再度検査することで薬剤の過剰な投与を避けることができます。

アレルゲン特異的IgE検査

アレルギーの際に出現する血中抗体(IgE)の濃度を測定して、アレルギーの原因(アレルゲン)を判定することができます。

<測定アレルゲン一覧※1>
節足動物ヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ、ノミ、蚊、ゴキブリ
雑草ヨモギ、オオブタクサ、アキノキリンソウ、タンポポ、フランスギク
牧草カモガヤ、ハルガヤ、オオアワガエリ、ホソムギ、ギョウギシバ
樹木スギ、シラカンバ、ハンノキ
カビアルペルギルス、アルテリナリア、クラドスポリウム、ペニシリウム
主要食物アレルゲン牛肉、豚肉、鶏肉、卵白、卵黄、牛乳、小麦、大豆、トウモロコシ
除去食アレルゲン羊肉、七面鳥、アヒル、鮭、タラ、ナマズ、シシャモ、ジャガイモ、米
※1:一回の検査で上記の項目全てを測定できます。

リンパ球反応検査

アレルギー反応には抗体(IgE)が関与するものとリンパ球が関与するものとがあります。リンパ球反応検査ではリンパ球を介した食物アレルギー反応を捉えます。IgE検査の結果が陰性の場合でも、このリンパ球反応検査でアレルギー反応が検出されることがあります。

<測定アレルゲン一覧※2>
主要食物アレルゲンパネル牛肉、豚肉、鶏肉、卵白、卵黄、牛乳、小麦、大豆、トウモロコ
除去食アレルゲンパネル羊肉、七面鳥、アヒル、鮭、タラ、ナマズ、シシャモ、ジャガイモ、米
※2:主要食物アレルゲンパネル、除去食アレルゲンパネルはそれぞれ別のセット検査となります。

免疫介在性皮膚疾患

免疫は体内を正常に保つために生まれながらにして備えられたシステムで、自己とは異なるものを認識して排除します。
しかし、何らかの原因により、異物を除去する反応が自己の細胞や自己の物質自体にまで反応してしまい、赤み、水ぶくれ、フケなどができて、やがて脱毛をともなう、ただれたような状態から、かさぶたのような病変を示すことがあります。
これは命にかかわることでもあるため、適切な治療を必要とする皮膚病が多い疾患群です。免疫介在性皮膚疾患の代表例としては、天疱瘡や血管炎などが知られています。

天疱瘡

天疱瘡

今後更新していきます。

皮膚筋炎

皮膚筋炎

今後更新していきます。

皮膚血管炎

皮膚血管炎

今後更新していきます。

内分泌性皮膚疾患

ワンちゃん、ネコちゃんの体はホルモンによって恒常性が保たれていて、とても緻密に調節されています。しかし、そのバランスが崩れると、体内の不均衡を反映して、脱毛が比較的広範囲に現れてくることがあります。皮膚に付属する豊富な被毛がホルモンの影響を強く受けることがこの要因として推察されています。そして脱毛と同時に、水分摂取量や食欲、排便排尿などの一般状態へも影響が出てきます。こうなると、皮膚の管理だけでなく、内分泌系器官のコントロールも同時に行っていく、総合的な治療が必要になります。

内分泌性疾患

甲状腺機能低下症

病気の概要
甲状腺ホルモンには代謝を抑制する上で主要な役割があります。正常な生長および発育に必須ですし、毛周期における成長期を活性化します。甲状腺機能低下症は甲状腺の構造的または機能的な異常などにより、甲状腺ホルモンの生産が不足して起こる全身性の疾患です。猫ではこの疾患を自然発症することはほとんどありません。

症状
一般的に見られる症状は、活動性の低下、食欲増加を伴わない体重増加、徐脈、そして低体温です。皮膚に現れる症状は様々ですが、鼻筋や尾、胴体部に左右対称で痒みを伴わない脱毛が見られることが多く、脱毛部に色素沈着を伴うこともあります。
皮膚が厚みを増す、肥厚(ヒコウ)が見られる、酵母菌や細菌による二次感染を受けるといった場合もあります。この疾患で痒みが見られた時には、そのような二次性の膿皮症や酵母菌感染、または毛包虫症が疑われます。

診断
血液性化学検査を行うと、高コレステロール血症が比較的よく見られます。診断を確定するには、血中の甲状腺ホルモンや甲状腺刺激ホルモンの濃度を測定する甲状腺機能検査を行います。

治療
検査結果や全身状態を考慮し、適量のホルモン製剤を内服します。治療を開始したら定期的にホルモン濃度を測定し、適切な血中濃度を保てるよう薬の量を調節します。症状の改善には通常数週間~数か月かかります。また、症状が消失した後も内服は生涯にわたって必要です。二次感染や毛包虫症がある場合は、その治療も行っていきます。

治療前

症状画像1症状画像2症状画像3症状画像4

悲しそうな顔で表情に覇気が無く、くびれの無い体型をしていますが、これは本疾患の特徴的な所見です。この症例はアレルギー性皮膚炎と外耳炎を併発しており、内股部分の皮膚には黄色い皮脂の塊が付着し、慢性的な炎症刺激により皮膚が象のように厚くなる苔癬化(たいせんか)を起こしています。耳は激しい炎症のため軟骨が腫れており、耳の穴が確認できません。

治療後

治療後1治療後2

全身に発毛が見られ、皮膚は滑らかになりました。外耳炎も劇的に改善して、耳道内の観察も容易になりました。


犬の副腎皮質機能亢進症

病気の概要
腎皮質から分泌されるホルモンの過剰な産生または投与により生じます。犬で最も一般的に診断される内分泌疾患ですが、猫では稀にしかありません。副腎皮質機能亢進症には、自然発生性と医原性のものがあり、後者は主にアレルギー性疾患や免疫介在性疾患の治療で過剰に副腎皮質ホルモン(ステロイド)が投与された結果として起こります。

症状
副腎皮質機能亢進症では、多飲多尿や多食、パンティング、元気消失が主な症状として見られます。皮膚の症状では、徐々に進行する左右対称性の脱毛があります。脱毛部位の皮膚は血管が透けて見えるほど薄く、縮緬のような細かい皺が認められるようになります。また、筋肉の萎縮や肝臓の腫大などによって腹部が膨満した状態になります。免疫力も低下するので、二次性の膿皮症、皮膚糸状菌症、そして毛包虫症に罹患することもあります。

診断
臨床症状から副腎皮質機能亢進症が疑われる場合には、一般血液検査、血液生化学検査、尿検査、腹部超音波検査などを行います。その後、確定診断として行うのがACTH刺激試験などの副腎機能試験です。

治療
感染症を併発している場合は、その治療を同時に行います。医原性の副腎皮質機能亢進症に対する治療法は、ステロイドの投与量を徐々に減らした後中止することです。副腎に腫瘍があって転移病変や全身状態の悪化がない場合には、副腎摘出が根治療法として選択されます。ただし、手術の危険性が高い場合には内服薬によって体内のホルモン量を調節します。

治療前

症状画像1症状画像2

体幹部の脱毛が顕著です。特に下腹部の皮膚には、色素沈着と激しい炎症が見らます。この症例は毛包虫症を併発していました。

 

治療後

治療後1治療後2

内服薬によるホルモン量の調節と毛包虫症の治療によって、全身に発毛が見られました。腹部の色素沈着は残っていますが、炎症は劇的に改善されています。


先天性および遺伝性皮膚疾患

ワンちゃん、ネコちゃんは、それぞれが犬、猫の種類による特徴、また、その個体レベルでの遺伝的特徴を持ち合わせています。その特徴が反映して、痒みとともに皮膚がとてもべとべとしたり、逆に、乾燥したりなど、皮膚のコンディションが上手に保てなくなり、結果として二次的に悪い皮膚病変を作ってしまうことがあります。このような場合は、獣医師によるそのワンちゃん、ネコちゃん自身へのスキンケアと管理が重要になります。こうした先天性および遺伝性皮膚疾患の代表例として、本態性脂漏症、先天性魚鱗癬などが知られています。

先天性および遺伝性皮膚疾患

本態性脂漏症

病気の概要
「脂漏症」とは、過剰な皮脂分泌やフケ、かさぶたなどの皮膚症状を総称する用語ですが、この病名から混乱を招くことが多くあります。真の脂漏症である原発性脂漏症は遺伝性の角化異常で、通常幼少時に発症し、年齢と共に重症化し、皮脂のタイプによって乾性脂漏症と脂性脂漏症に分類されます。この他に、アレルギー性皮膚疾患や膿皮症、内分泌性(ホルモン性)、そして皮膚疾患に伴って二次的に脂漏を示す(二次性脂漏または続発性脂漏症)こともあり、原発性脂漏症との区別が必要になります。

症状
多量のフケ、かさぶた、毛穴の角栓、皮膚の悪臭、乾燥もしくはベタついた皮膚や毛といった症状が、体幹を中心として認められます。痒みは軽いものから強いものまで様々で、脱毛や赤みが生じることもあります。細菌や酵母菌による二次感染も多くみられます。

診断と治療
原発性脂漏症の診断は、発症年齢と脂漏を生じる他の疾患を除外することで行い、皮膚の病理組織検査を行う場合もあります。
二次感染に関しては、適切な内用または外用薬で治療します。また、脂漏症の対症療法として、脂漏を抑える作用のあるシャンプーを使った薬浴を行います。さらに、バランスの取れた良質なフードを与えることも重要ですし、脂肪酸のサプリメントも補助手段として有効です。重度の脂漏、そして痒みを伴う場合には、ステロイドによる全身療法を行うこともあります。二次性脂漏の場合は、脂漏の原因となる疾患をコントロールしていきます。

先天性魚鱗癬 etc.

今後更新していきます。

エーラーダンロス症候群

今後更新していきます。

腫瘍性および非腫瘍性皮膚疾患

腫瘍は「異常な組織の塊であり、その成長は、過剰で、正常組織の成長と調和せず、その変化を引き起こした刺激がなくなった後も、ひたすら過剰な成長を続けるもの」と定義されています。こうした組織が、皮膚上に様々な特徴を持ったしこりとして、またボコボコした病変となって表れてきます。また、内臓の腫瘍ができたと、体内の変化に反映して、皮膚上に異様な病変を生じることもあります。腫瘍性皮膚疾患としては、扁平上皮癌、メラノーマ、リンパ腫などがあり、内臓の腫瘍としては、膵臓がん、副腎皮質腫瘍などで腫瘍に随伴した皮膚病変を作ることがあります。また、非腫瘍性皮膚疾患では、パピローマウィルスによる皮膚病変がよく知られています。 

  • 皮膚肥満細胞腫
  • リンパ腫(リンパ腫、悪性リンパ腫)
  • 扁平上皮癌
  • メラノーマ
  • 黒色腫
  • 皮膚組織球腫
  • 形質細胞腫
  • 毛芽腫(基底細胞腫)
色素異常

メラノサイトでメラニン色素が作られて皮膚に沈着する過程で、何らかの異常が起きることで色素が過剰に沈着(ほくろ、色素斑)または、脱落してしまう(白斑)皮膚疾患です。遺伝的な影響で引き起こされるだけでなく、膿皮症のような炎症を伴う皮膚疾患や免疫異常による二次的な色素沈着も報告されています。

眼瞼、爪、肛門嚢、および耳道の疾患

皮膚は体の表面において、毛、表皮、脂腺などのいろいろな形に姿を変え、動物たちの体を保護しています。眼瞼、爪、肛門嚢、および耳道を構成している細胞は、体表を覆っている細胞とはそれぞれ少し違った構成を持ち、特徴的な機能を示します。そのため病変もその部分に特徴的な変化を示すので、診断や治療にもひと工夫が必要になります。

角化異常性皮膚疾患

皮膚は、種々の細胞が層状になっていて、内から外界へ向かって活発にターンオーバーをしています。この過程に異常が起きると、痒みに同調してフケが多く出たり、脂腺の機能異常によるベトつきや黒くポツポツとした毛穴になることがあります。さらにこれらを原因として、二次的に、感染症による脱毛、赤み、かさぶたなどが見られます。
この角化異常の発生要因は様々で、皮膚変化も様々です。

① 原発性 本態性脂漏症 肉芽腫性脂腺炎etc..
② 二次性 膿皮症、外部寄生虫、アレルギー、自己免疫性、内分泌異常、皮膚糸状菌症などが原因として起こる角化異常

心因性皮膚疾患

ワンちゃんとネコちゃんは、私たちと生活する中で精神的に様々な影響を受けています。そしてストレスなどの心理的不安を解消しようと、彼らはいろいろな行動を引き起こします。たとえば、肢を舐めたり、体を必要以上にかきむしったり、地面に擦り付けたり、時に、ガジガジと噛むことで自分を傷つけたりします。それらは一見、痒みがありそうに見えますし、まして毛が抜けて、ひっかき傷やかさぶたができるととても痛々しいものです。さらに、こうしたストレスが内臓に影響して、間接的に皮膚に影響してくることもあります。こうした心因性の皮膚疾患では、皮膚科学以外にも神経学的、行動学的なアプローチが必要になってきます。
飼い主さまの環境とも比較的関わり合いがあるため、診療には慎重さが重要です。

  • 犬の肢端舐性皮膚炎
  • 猫の心因性脱毛および皮膚炎
アクセス


北川犬猫病院

住所
〒174-0072
東京都板橋区南常盤台1-39-1

診療時間
午前 9:00~12:00
午後 15:00~18:00
定休日:なし

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